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【初心者向け】「物語を写すポートレート撮影:ロケーション・衣装・レンズ・瞬間・編集の5つのポイント

    こんにちは、ウィークエンドフォトグラファーのたてわきです。

    この記事は、「ポートレート撮影を始めたので上手に撮りたい」という方向けの内容です。

    今回の記事では、初心者カメラマン向けに、物語を写すという視点で、5つのポイントをご紹介します。

    5つのポイント

    ①ロケーション選びの工夫
    ②衣装とスタイリングの力を借りる
    ③レンズの特徴を理解して使い分ける
    ④シャッターを切る「間」を意識する
    ⑤撮影後のセレクトと編集も作品の一部

    この記事は、次のような人におすすめ!
    ・初心者カメラマン
    ・物語、ストーリー性を意識して撮りたい

    ぜひ、参考にしてください!

    ポートレート撮影において、被写体はもちろん主役ですが、その魅力を最大限に引き出すためには「ロケーション選び」が欠かせません。背景となる場所が持つ雰囲気や空気感が、そのまま写真の印象を左右するからです。

    たとえば、新宿御苑のプラタナス並木は、まさに“物語の舞台”のようなロケーションです。春から秋にかけてはやわらかな木漏れ日が差し込み、整然と並ぶ木々が奥行きとリズムを与えてくれます。その場所に立つだけで、静かで詩的な雰囲気が生まれます。

    そんな場所に、白のロングスカートをまとったモデルが現れたとしましょう。そよ風に揺れるスカートの動きと、まっすぐ続く並木道の直線が響き合い、可憐に歩く女性の姿がまるで映画のワンシーンのように浮かび上がります。背景が持つ「やさしさ」や「静けさ」が、モデルの動きや衣装と調和することで、ポートレートはただの人物写真を超え、「一枚のストーリー」へと昇華するのです。

    このように、背景は単なる装飾ではなく、写真のもう一人の登場人物とも言える存在です。初心者の方でも、「この場所はどんな物語を語れるか」という視点で場所を選ぶだけで、撮れる写真の質は大きく変わってきます。

    さらにおすすめなのが、撮影前に実際に現地へ足を運んでみるロケハン(ロケーションハンティング)です。光の入り方や時間帯による雰囲気の違い、人の多さなどを事前に把握しておくことで、当日の撮影がぐっとスムーズになります

    ポイント

    ①背景の雰囲気が写真の印象を大きく左右する。
    ②撮影前に現地を確認するロケハンで光や人の状況を把握。
    ③背景を「物語の登場人物」と捉え、シーンの一体感を意識する。

    新宿御苑のプラタナス並木で、映画のワンシーンをイメージして撮影しました。

    ポートレート撮影において、衣装やスタイリングは“被写体の魅力”を引き立てる大切な要素です。特に自然の中での撮影では、背景と衣装の色や質感の相性によって、写真の空気感が大きく左右されます。

    たとえば、真夏のひまわり畑で撮影する場合。モデルさんが着ているのは、水色と白のチェック柄のチューブトップワンピース。爽やかな色合いと可憐なデザインが、まるで夏の風景の中に溶け込むように美しく映えます。ひまわりの鮮やかな黄色と、衣装の水色とのコントラストは、互いの色を引き立て合い、写真全体にリズムと爽快感を与えてくれます。

    さらに、ワンピースの淡い色合いは、ひまわりの背景だけでなく、広がる青空とも絶妙にマッチします。白と水色は夏の空の色そのもの。背景に空を多く取り入れれば、ワンピースとの統一感が生まれ、見る人に「夏の心地よさ」を感じさせる写真に仕上がります。

    このワンピースはチューブトップタイプのため、首元や肩がすっきり見え、涼しげで軽やかな印象を演出できます。また、風が吹いたときにワンピースの裾がふわりと揺れる様子は、止まった写真の中に動きを生み出し、自然な生命感を与えてくれます。

    髪型がボブカットであれば、顔まわりに程よい動きが生まれ、ワンピースの爽やかな印象と相まって、全体としてナチュラルで明るい雰囲気に。風が少し髪を揺らすだけでも、写真に優しい表情が加わります。

    スタイリングの力は、ポートレートの「語り口」を決める重要な要素です。事前にモデルさんの衣装や髪型を把握しておくことで、ロケーションや撮影の構図も自然とイメージしやすくなります。夏のひまわり畑という舞台で、水色と白のチェックワンピースが風になびく――そんなシーンを的確にとらえるためにも、衣装と背景の調和にしっかり目を向けましょう。

    スタイリングの工夫は、ただの記念写真を“絵になるポートレート”へと昇華させてくれる、頼れるパートナーなのです。

    ポイント

    ①背景と衣装の色や質感の調和で写真の雰囲気が決まる。
    ②動きや髪型の特徴が写真に自然な生命感や表情を与える。
    ③衣装を事前に把握し、撮影イメージを固める。

    夏の暑さ、心地よさ、爽やかさ、涼しさを同時に感じられるカットですね。
    また、レタッチを変えることで少年時代(少女時代)に過ごした懐かしさを感じることができます。

    ポートレート撮影において、「どんなレンズを使うか」は写真の印象を大きく左右します。特に初心者が最初に悩むのが、「どの焦点距離を選ぶべきか?」「単焦点とズーム、どちらがいいのか?」といった問題。ここでは、焦点距離による画角の違いと、単焦点レンズの魅力について詳しく紹介します。

    まず、代表的な焦点距離ごとの特徴を見てみましょう。

    • 35mmレンズ:広めの画角で背景や周囲の雰囲気を一緒に写し込みやすく、ストリートや日常の空気感を活かしたポートレートに最適です。被写体と背景の“距離感”を自然に保ちながら撮れるため、環境を含めた物語性のある写真に向いています。
    • 50mmレンズ:いわゆる「標準レンズ」と呼ばれる焦点距離で、人間の視野に近い自然な画角を持ちます。背景をほどよくぼかしつつ、被写体との距離感もつかみやすいので、初心者にも非常に扱いやすい一本。ポートレートの基本を学ぶには最適です。
    • 85mmレンズ:中望遠に分類されるこのレンズは、被写体との距離を少しとりつつ撮影することで、背景を大きくぼかし、モデルを浮き上がらせるような立体的な写真に仕上がります。特に顔のアップや上半身中心のポートレートに強く、「圧縮効果」で被写体の存在感を引き立てます。

    このように、焦点距離によって構図や背景の見え方が大きく変わります。撮りたい写真のイメージに応じて使い分けることで、表現の幅が一気に広がるのです。

    その中でも初心者におすすめしたいのが、**単焦点レンズ(特に50mm)**です。理由は大きく3つあります。

    1つ目は、写真の基本が身につくこと。ズームが効かない分、自分の足で被写体との距離を調整し、構図を考える必要があるため、自然と撮影力が鍛えられます。
    2つ目は、F値の小さい明るいレンズが多く、美しいボケ味が得られること。背景をなめらかにぼかすことで、被写体の印象がグッと引き立ちます。
    3つ目は、価格が手頃で導入しやすいこと。多くのカメラメーカーからコストパフォーマンスの高い50mm単焦点が発売されており、初めての一本としては非常に優秀です。

    中望遠レンズ(85mmなど)は背景を大きくぼかした「プロっぽい写真」が撮れますが、やや撮影距離が長く、狭い場所での撮影には不向きなこともあります。そのため、まずは扱いやすく、応用も効く50mm単焦点で、自分の「好きな距離感」を見つけてみるのがおすすめです。

    レンズを変えるだけで、写真はまったく違う表情を見せてくれます。レンズの画角や特徴を理解し、「撮りたい雰囲気」に合わせてレンズを選ぶ力をつけていきましょう。きっと、あなたのポートレート表現がひとつ上のステージに進むはずです。

    ポイント

    ①焦点距離で背景の写り方や距離感が変わる(35mm/50mm/85mm)。
    ②初心者は50mm単焦点がおすすめ(基本が身につきやすい、背景ぼけ、価格面)。
    ③撮りたい雰囲気に合わせてレンズを選ぶことで表現力がアップ。

    左から35㎜、50㎜、85㎜

    ポートレート写真は、単に被写体を写すだけではなく、その人の「感情」や「内面」を映し出すものです。そのためには、シャッターを切る「間(ま)」を意識し、モデルさんの表情や仕草の変化を丁寧に見極めることが大切です。連写で数を稼ぐのではなく、「今だ」という瞬間を狙って撮ることで、写真に命が宿ります。

    例えば、モデルさんがふと視線を外したとき。遠くを見つめる瞳に、切なさや想いが宿り、その一瞬は普段見せない繊細な表情を捉えています。また、笑いの合間に見せる照れた表情や目を伏せる仕草には、無防備さや親しみやすさがにじみ出て、写真に温かみをもたらします。さらには、風になびく髪やスカートの動きなどの自然な瞬間をとらえることで、写真に軽やかさと躍動感を加えられます。

    感情が溢れた瞬間は、必ずしも明るい感情だけではありません。哀愁や儚さ、遠い記憶を呼び覚ますような複雑な感情が表れることもあり、その深みが写真に物語性を与えます。例えば、季節の花を見て幼いころの思い出が蘇ったときの目元の揺らぎや、一瞬見せる遠くを見つめる寂しげな表情。こうした繊細な感情の動きをとらえることが、心に残るポートレート撮影の醍醐味です。

    では、どうすればそんな「感情が溢れた瞬間」を逃さず捉えられるのでしょうか?

    まずはモデルさんをよく観察することです。呼吸のリズム、目線の移動、手や肩の微妙な動きに意識を向けましょう。これらの変化は内面の感情を映し出すサインであり、次にどんな表情が来るのかを予測する手がかりになります。

    次に、コミュニケーションを大切にすること。撮影中の会話やカメラマンの声かけは、モデルさんのリラックスや自信に直結します。例えば、「今の表情、とても素敵です」「もう一度同じ感じでお願いします」と伝えるだけで、モデルさんは安心し、より自然で深い表情を見せてくれます。撮影は「写真を撮る」だけでなく、「一緒に作品を作る」共同作業であることを忘れないでください。

    具体的には、モデルさんに思い出話をしてもらうのも有効です。楽しかった旅行の思い出や、大切な人との出来事を話してもらうと、その感情が顔ににじみ出ます。たとえば、夏の海辺の思い出話で自然な笑顔がこぼれたり、昔の恋愛を思い出して少し切ない表情が現れたり。そうした「感情のスイッチ」が入った瞬間がシャッターを切る絶好のタイミングです。

    また、経験を積むことで、モデルさんの呼吸や動きを直感的に感じ取れるようになります。呼吸が浅くなったり、手がわずかに動くなどの小さな変化を察知し、「ここだ!」という瞬間を逃さずに撮影できるようになります。この感覚は練習と観察の積み重ねで磨かれるものなので、焦らず積極的に撮影を重ねましょう。

    シャッターを切る「数」より「質」を重視することで、写真にドラマが生まれます。動かない静止画に、時間の流れや感情の揺らぎが感じられるような一瞬をとらえることが、魅力的なポートレート撮影の極意です。

    ぜひモデルさんの表情や仕草に耳を澄ませ、心の動きを見逃さずにシャッターを押してください。その「間」を意識することで、写真に人間らしい温度とストーリーが宿り、観る人の心を深く揺さぶる一枚が生まれます。

    ポイント

    ①モデルの微細な表情や動きを観察し、感情が溢れる瞬間を狙う。
    ②撮影中のコミュニケーションでリラックスと自然な表情を引き出す。
    ③質の高い一瞬を撮るために、数よりも「タイミング」を大切に。

    ちょっと仕草や表情、視線の変化、タイミングを意識して撮影。

    ポートレート撮影はシャッターを切った瞬間で終わりではありません。実は、撮影後の写真のセレクト(選別)と編集(レタッチ)が、作品の完成度を大きく左右します。撮影した写真の中から本当に魅力的な一枚を見つけ出し、適切に仕上げることもプロの重要な仕事です。

    まずセレクトのポイントについてです。初心者はつい「顔がはっきり写っているか」だけで写真を選びがちですが、それだけでは本当に良い写真は見つかりません。写真全体のバランス、光の質や方向、構図、そして被写体の表情や雰囲気、さらに写真が伝えるストーリー性にも注目しましょう。

    例えば、モデルさんの目線や表情が自然で、背景や光がうまく調和しているかどうか。光が柔らかく当たって肌の質感が美しく見える写真は魅力的です。また、構図が整理されているか、余白の使い方に意図が感じられるかも大切なチェックポイントです。こうした視点で写真を比較していくと、「単にきれいに写っている」以上の、心に響く一枚を選びやすくなります。

    次に編集についてです。レタッチは、写真の印象を大きく変える力を持っていますが、やりすぎには注意が必要です。初心者でも使いやすいソフトとしては、Adobe Lightroomがあります。このソフト使って、まずは「明るさ」や「コントラスト」、「色味」を調整しましょう。例えば、少し暗めに写っている写真は明るさを調整して被写体を際立たせることができます。また、色温度を調節して暖かさや冷たさをコントロールし、写真の雰囲気を意図的に変えることも可能です。

    ただし、肌のレタッチや過度なフィルター効果は自然さを損なうことが多いので控えめに。目立つシミやゴミを除去する程度にとどめ、モデルさんの個性や質感を尊重することが重要です。あくまでも「自然に、でも魅力的に」が編集の基本姿勢です。

    また、編集作業は「写真をより良く見せるための最終調整」と心得ましょう。撮影時の光や構図がしっかりしていれば、編集はあくまで引き立て役です。逆に言えば、撮影の段階で良い写真を撮る努力が最も大切であり、編集はその後のブラッシュアップなのです。

    最後に、セレクトと編集は「作品づくりの継続」です。良い写真を見つけ出し、丁寧に仕上げることで、自分だけのポートレート作品集が完成していきます。これが撮影の楽しみの一つでもあります。

    まとめると、撮影後のセレクトでは「光・構図・表情・ストーリー性」を基準に全体のバランスを見て選び、編集では「自然さを保ちつつ明るさ・色味を調整」して魅力を引き出すことが重要です。これらを意識すれば、写真初心者でも作品の質を格段にアップさせることができるでしょう。

    ポイント

    ①写真は表情・光・構図・ストーリー性を重視して選ぶ。
    ②編集は自然さを保ちつつ、明るさや色味を調整して魅力を引き出す。
    ③編集は撮影の引き立て役。撮影の質が作品の根幹。

    ポートレート撮影は「人を写す」だけでなく、「人の魅力を引き出し、物語を紡ぐ」表現手段でもあります。今回紹介したように、ロケーション、衣装、レンズ、タイミング、編集といった+αの工夫を取り入れることで、写真はもっと豊かで楽しいものになります。

    写真は技術だけでなく、観察力や想像力、人との関わり方が問われる奥深い世界です。焦らず、自分なりのスタイルや視点を育てながら、撮影を楽しみましょう!

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