こんにちは、ウィークエンドフォトグラファーのたてわきです。
この記事は、「ポートレート撮影を始めたので上手に撮りたい」という方向けの内容です。
今回の記事では、初心者カメラマン向けに、魅力的なポートレートを撮るために意識して欲しい5つのポイント
について解説します。

この記事は、次のような人におすすめ!
・初心者カメラマン
・どうやったら魅力的な写真が撮れるか悩んでいるカメラマン
ぜひ、参考にしてください!
1. 【光】を味方につける
ポートレートで最も大切な要素のひとつが「光」です。光の当たり方ひとつで、顔の印象や写真全体の雰囲気が大きく変わります。中でも初心者にぜひ試してほしいのが「反逆光(はんぎゃっこう)」の光の使い方です。これは、太陽などの光源を被写体の斜め後ろに配置することで、顔の正面にも柔らかな光が回り込み、自然で明るい肌の質感を表現することができます。
反逆光の魅力は、それだけにとどまりません。髪の毛の縁に光があたり、まるで後光が差しているかのように美しい輪郭の強調が生まれます。この現象は「エッジライト」や「リムライト」と呼ばれ、被写体を背景から浮き立たせ、立体感と透明感のある印象を作り出します。とくに女性のポートレートでは、髪のきらめきや顔周りの柔らかい輝きが際立ち、見る人を惹きつける印象的な仕上がりになります。
また、反逆光はまぶしさを和らげるというメリットもあります。直射日光が顔に当たると、目を細めてしまったり、表情が硬くなったりしがちですが、反逆光ではそれを避けつつ、自然な表情を引き出すことができます。光が柔らかくまわり込むことで、肌の影もソフトになり、レタッチに頼らずともきれいな写真が撮れるのです。
撮影のコツとしては、カメラ側からレフ板や明るい壁を使って、顔に回り込む光をさらに補助すると効果的です。時間帯は、光が低い位置から差す朝方や夕方の「マジックアワー」がおすすめです。この時間帯の光は特にやわらかく、ゴールデントーンで被写体を包み込んでくれます。
一見すると難しそうに感じるかもしれませんが、少しコツをつかめば誰でも取り入れることができます。まずは太陽の位置を確認しながら、自然な表情とやわらかい光を意識して撮影してみましょう。光を味方につけるだけで、写真のクオリティが一段とアップするはずです。
反逆光は、立体感と透明感のある印象を作る
以下は、反逆光を意識した作例です。逆光だと被写体が暗くなってしましますが明るく写っています。また、髪に輪郭にできる光が黄金のエッジとなって、透明感を際立てせていますね。



2. 【背景】は引き算で考える
ポートレートでは背景も大事な構成要素です。被写体だけでなく、どんな背景が写っているかで写真の印象は大きく左右されます。初心者の方におすすめなのが、35mmのレンズを使い、背景をしっかり意識した写真を撮ることです。
35mmのレンズは、人間の視野に近い自然な画角を持ち、背景と被写体のバランスがとりやすいのが特徴です。背景を完全にぼかしてしまうのではなく、風景や街並みなどを適度に写し込むことで、その写真に「場所」や「空気感」といった物語を持たせることができます。公園の木々、海辺の風景、街の建物や道など、撮る場所の雰囲気を活かすことで、人物がより引き立ち、印象的な写真になります。
ここで意識したいのが「主題と副題」の考え方です。主題は当然ながらモデルさん自身ですが、副題として背景に写り込む風景や小物が写真に深みを加えます。背景は主題を引き立てる舞台であるべきなので、不要な要素は思い切ってカットし、伝えたいメッセージが明確になるように構成を工夫しましょう。風景を副題として活かすことで、モデルさんの存在感がより一層際立ちます。
背景を「引き算」で考えるというのは、余計な要素を取り除き、主役である人物を際立たせるということ。たとえば看板や通行人、電柱など、注意をそらしてしまうものが写り込んでいないか、撮影前にしっかり確認する習慣をつけましょう。また、背景と被写体の距離を調整したり、少し角度を変えて撮影するだけでも、印象がぐっと良くなることがあります。
35mmレンズで背景を適度に取り込みつつ、主題と副題のバランスを意識することで、写真に深みが生まれます。「背景を引き算する」という考え方に、「背景を活かす」という視点も加えてみてください。これにより、ただの人物写真ではなく、その人の「今」や「場所」を切り取った、印象的な一枚が生まれるはずです。
①主題と副題のバランスを意識する
②不要な要素は思い切ってカット
主題はモデル、副題は紫陽花


主題はモデル、副題は空。余計なものが入らない構図


主題はモデル、副題は電車

3. 【自然な表情】を引き出すためのコミュニケーション
ポートレートで最も目を引くのは「目」と「表情」です。ただし、カメラ初心者にとって、モデルさんから自然な表情を引き出すのは意外と難しいものです。そこでおすすめしたいのが、撮影時間を「コミュニケーションの時間」と「作品づくりの時間」に分けて考える方法です。たとえば90分の撮影であれば、最初の45分はコミュニケーションを目的に軽く撮影を行い、後半の45分で本格的な作品づくりに入ると、自然で魅力的な表情を引き出しやすくなります。
前半の時間では、カメラを構えながら雑談を交えたり、軽いポージングをお願いすることで、モデルさんとの関係性を自然に築いていきます。緊張がほぐれ、少しずつモデルさんの個性や自然な笑顔が表に出てくるでしょう。撮る側も被写体に慣れてくるため、後半にはより的確な指示ができるようになります。
さらに、表情には「心の中で感じていること」がそのまま現れます。ですから、モデルさんに楽しかったことや嬉しかった出来事を思い出してもらいながらポージングしてもらうと、自然な笑顔や柔らかい表情が生まれやすくなります。たとえば、「最近ディズニーランドに行ったときの思い出」や、「ふらっと入ったお店で自分にぴったりの洋服を見つけたときの喜び」など、感情が自然と湧き上がるようなエピソードを思い浮かべてもらうと、表情にもその感情がにじみ出ます。
「目線と表情に意味を持たせる」というのは、単に演出するということではありません。モデルさんとの信頼関係や心の動きを大切にしながら、自然とあふれ出る表情をとらえることが、魅力的なポートレートへの第一歩なのです。
①自然な表情は、コミュニケーションから生まれる
②自然な表情=心の中で感じていること
③信頼関係や心の動きを大切に
アクティビティをしたり、小物を使ったりしてみることも効果的ですね。



4. 【構図】で魅力を引き出す
ポートレート撮影で重要なのは、画面の中でモデルをどう配置し、どんなバランスを作るかという「構図」です。被写体を画面の中央に置くことが必ずしも正解ではなく、「三分割法」や「対角線構図」といった構図のルールを使うことで、写真に動きや安定感が生まれます。これらの構図は、視線の誘導や自然なバランスを作り、写真をより魅力的に見せる効果があります。
また、写真は平面ですが、「前景・中景・後景」を意識することで、立体感や奥行きを感じさせることができます。前景には例えば葉っぱや花、小物などを少しぼかして入れ、中景にモデル、後景に風景や建物を配置することで、写真全体に深みが生まれ、見る人の目を引きつける効果があります。前景を入れることで、写真に層ができ、単調にならず自然な立体感を作り出せるのです。
さらに、動きのない写真でも「動きの方向に余白を作る」ことで、動きや広がりを感じさせることができます。例えば、モデルが右を向いている場合は、視線や動きの先である右側に余白を多めにとると、写真にゆとりが生まれ、自然な動きが感じられます。逆に動きの前に被写体を寄せすぎると窮屈な印象になり、写真が硬く見えてしまうため注意が必要です。
また、バストアップ、腰上、全身といった撮影の範囲によっても、写真の印象や伝わるメッセージは大きく変わります。全身を写すとモデルの立ち姿や雰囲気が伝わりやすく、一方でバストアップは表情や細かなニュアンスを捉えやすいです。撮影の目的や見せたい雰囲気に合わせて、構図と撮影範囲を意識することが大切です。
📝 ワンポイントとして、足元ギリギリで切る構図は不自然に見えることが多いため、どこで切るかにしっかり意図を持つことが重要です。自然でバランスの良い切り方が、写真全体の完成度を高めます。
このように、構図は単なる配置ではなく、奥行きや動きを演出し、写真にストーリー性や魅力を持たせるための大切な要素です。初心者の方もまずは三分割法や前景の活用、動きの余白を意識して撮影することで、ぐっと魅力的なポートレートが撮れるようになります。
①撮影の目的や見せたい雰囲気に合わせて、構図と撮影範囲を意識する
②奥行きや動きを演出し、写真にストーリー性や魅力を持たせる
上段左:眺める方向に余白をもたせてストリー性をもたせる(三分割構図)
上段右:前景に招き猫を配置し、埋もれてる感を表現(三分割構図)
下段2枚:前景、後景にひまわりを配置し、ひまわり畑の奥行きを表現




5. 【信頼関係】が写真に現れる
ポートレート写真でどんなに技術が優れていても、撮る側と撮られる側の信頼関係が築けていなければ、モデルの魅力を十分に引き出すことは難しいです。いきなり初対面で完璧な写真を撮るのは、プロであっても簡単ではありません。だからこそ、多くのカメラマンは同じモデルさんと繰り返し撮影を重ねることで、自然で魅力的な表情やポーズを引き出しています。
信頼関係を築くための特効薬は存在しません。モデルさんも人間ですから、撮影前の会話で「どんな自分を写したいか」「どんな雰囲気が好きか」をしっかりすり合わせることが重要です。このコミュニケーションは、お互いのイメージや期待を共有し、安心感を生む土台となります。
撮影中も「うまくいっていますよ!」と声をかけるなど、ポジティブなフィードバックを絶やさないことが大切です。撮られる側が不安や緊張を感じると表情に現れてしまうため、安心感を与えることで自然な笑顔や表情を引き出しやすくなります。
また、撮影が「楽しい時間」であることを意識することもポイントです。堅苦しく構えすぎず、時には雑談を交えたり、リラックスできる雰囲気づくりを心がけましょう。これにより、モデルさんは自分らしさを出しやすくなり、写真にもその温かみが映ります。
さらに信頼関係は、単に仲良くなることだけでなく、人間関係全般において大切な「心遣い」や「優しさ」、時には「厳しさ」も含まれます。相手の気持ちに配慮しながら、時にはしっかりとした指示や修正も必要です。このバランスが取れてこそ、深い信頼が生まれ、写真に自然な輝きが宿ります。
📝 ワンポイントとして、「写真を撮る」という一方通行の作業ではなく、「一緒に作品を作る」という意識でモデルさんと向き合うことが、より良い写真を生む秘訣です。双方が協力し合い、信頼し合うことで、初めて魅力的なポートレートが完成します。
①信頼関係を築くための特効薬はない
②だからこそ、相手の気持ちに配慮し、時にはしっかりと指示、修正を出すなどをして
信頼関係を深めていく
③一緒に作品を作るという意識、姿勢が大切
信頼関係を築いて、このようなダイナミックな撮影をぜひ行っていきたいですね。



いかがでしたでしょうか?色々書きましたが、やはり実践あるのみですね。
それでは、楽しい写真ライフをお過ごしください!
1. 【光】を味方につける
2. 【背景】は引き算で考える
3. 【自然な表情】を引き出すためのコミュニケーション
4. 【構図】で魅力を引き出す
5. 【信頼関係】が写真に現れる